2008年10月15日

作る価値があるもの。

昨日の日記の続き。

既にある膨大なライブラリとデジタルテクノロジによる無料の音楽サービス。
一曲単位でリーズナブルな価格で音楽を手軽に楽しめるダウンロード販売。
今はそんなことが可能な時代なのです。
ここ数年、音楽という分野においてリーター的役割を果たしているのはミュージシャンではなくAppleを代表するIT企業です。
iPodやiTunes、iTSは音楽の聴き方やライフスタイルにまで革命を起こしました。
Apple以外でも、ITを駆使して音楽に新たな可能性を与えた人や企業があります。
音楽ダウンロード配信サイトやMySpaceなどのSNS、そして、これは作る側の話になりますが、パソコンで音楽を作るソフトウェアを開発している企業やTENORI-ONのような新しい楽器を開発したエンジニアなどです。
それまで音楽業界の主役だったミュージシャン達は、安いロイヤリティを我慢しつつiTSなどのダウンロード販売サイトにて自分の曲を販売し、MADなどの二次創作物にもある程度の理解を示し、違法コピーと戦うことを余儀なくされ、それまでの主役の座から苦戦を強いられる立場へ追いやられています。

こうした状況を作っている理由の一つに、膨大にある過去の作品が挙げられると思います。
これ以上新曲を作らなくても、音楽販売サイトは既にある膨大なストックとネットワークを武器に世界中に音楽を売ることが出来ます。
新しい世代にとっては、昔の曲も今の曲も初めて聴く音楽は全て新曲と同じです。
今ビートルズを聴いてもレッド・ツェッペリンを聴いてもよいのです。
事実、去年はツェッペリンのベスト盤が発売されてヒットし、再結成ライブも大盛況のうちに幕を閉じました。
新人というのは、過去の偉人が残した名作と戦わなくてはいけないのに、今作られてる音楽は相変わらずの作風で、ポップな歌モノとか踊れるダンスミュージック、若さがほとばしるロック…
音楽だけを抜き出して考えれば、どれも素敵な音楽だと思いますが、本当にこれで良いのだろうか、という不安を感じるのも事実です。

そしてもうひとつ、これは全体的に感じることなのですが、ミュージシャンが今の時代についてこれていないように思えます。
今は音楽を作るのも聴くのも届けるのも、新しい手段を獲得した新しい時代なのです。
それらを駆使した新しい音楽、新しい音楽の楽しみ方のミュージシャンからの提案、新しい流通の仕組みなどがあるはずです。
そういった新しいものに対する積極的な利用があまりなされていないように感じられます。

渋谷慶一郎氏という30代半ばの電子音楽を中心に作曲している音楽家がいます。
東京藝術大学作曲科を卒業し、2002年に自身のレーベルATAKを設立し独自の音楽を発表しています。
彼は”誰も聴いた事がない音楽を作る”ということを自身のウェブサイト上の日記に書かれていたりして、とても独創的な音楽を多数作曲されており、また活動も多岐に渡る人です。
その成果の一つともいうべく、2007年に音像の縦移動を含む世界初のヘッドフォン専用・三次元立体音響CD“ATAK010 filmachine phonics”なるものを発表。
このCDは2007年度アルスエレクトロニカ・デジタルミュージック部門でHonorary mentionという賞を受賞しました。
彼のレーベルATAKには空間デザイナやウェブデザイナ、プログラマなどを擁しており、今までにない表現活動をしています。

音楽が売れないと言われている時代に、どんな音楽を作れば良いのでしょうか。
作る価値があるものとはなんでしょうか。
難しい問題なので答えは出ませんが、解決の手がかりとしては、やはり今までにない新しい音楽を作ること、そして時代に合った活動をすることだと思います。
現役のアドバンテージはなにかといえば、それは文字通り現役であるということです。
既に出来上がった過去の作品はもう形を変えることは出来ませんが、これから新しい曲を作るのであれば、今の時代に合ったものを作る事が出来ます。
売れたいがために、過去の成功例に倣っていわゆる売れ線の作品を作ったところで、似たような作品に埋もれてしまいます。
自分の作った曲が過去のどの名曲にも負けないという自身があるなら別ですが、凡庸な曲をいくら作っても、過去の膨大なストックの前に埋もれてしまうだけだと思います。
音楽不況と言われていますが、前述のとおり新しいことにチャレンジするのにはこれ以上ないというくらい可能性に満ちた時代です。
今の音楽家の人達には、是非今まで聴いたことのない、斬新で面白い音楽を作って欲しいと思います。
僕もアマチュアながら音楽を志しているので、少しでも聴いてもらう価値のある音楽を作りたいと思います。

長くなってしまったので、今回はここまで。
まだ言いたいことはあって、やや中途半端な内容になりましたが、またの機会にします。

 






posted by daemonjob at 23:42| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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